SHANGHAI BAILIAN G (900923.SS) 配当が出ました --小売業が経済の状態を映す?規制と競争、企業利益と消費者利益について

SHANGHAI BAILIAN G (900923.SS)の2013年本決算の配当が出ました。

この会社は、昔は上海フレンドシップという社名でした。今年の8月8日から上海百聯(シャンハイバイリエン) という名前に変わりました。
上海を中心とする小売の会社です。

私はこの会社との付き合いは長くて、中国株式投資を始めた14年ほど前からの所有者です。
途中には、2010年に関連会社を吸収合併しており、その時に株価が割安になりましたので、一気に株価上昇しました。
現在は、10年ほど前の取得価格から約2倍になっています。

吸収合併の記事はこちら↓
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上海友誼集団が上海百聯集団を吸収合併、中国最大の小売企業に
2010.11.04 15:16
上海友誼集団(900923.SS)は4日、株式交換により兄弟会社の上海百聯集団(600631.SS)を吸収合併し、完全子会社化する計画を発表した。グループ内の競合を回避するのが狙い。株式交換比率は1対0.861で、上海百聯集団の株主に対し、1株当たり0.861株の比率で上海友誼集団のA株を割り当てる。取引完了後、上海百聯集団は上場を廃止する。

このほか、実質筆頭株主の百聯集団有限公司から上海第一八佰伴有限公司の出資持ち分36%と上海百聯集団投資有限公司の出資持ち分100%を買収する計画。2社の査定額は総額47億800万元で、買収代金はA株新株3億200万株を割り当てる形で支払う。割当完了後、百聯集団有限公司の持ち株比率は直接・間接合わせて27.30%から49.26%に上昇する見通し。

一連の再編により、上海友誼集団は中国最大規模の小売企業となる。
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株式を所有していて言うのもなんですが、私としてはいまいち小売業は好きになれない業種です。
理由は、競争が厳しいために、どうしてもコスト競争に晒されてしまい差別化できる要素が少ないからです。結局、垂直統合などコストダウン施策を進めるしかなく、最終的には規模の論理が効いてきてしまいます。
また、政府の方向性・規制によっても会社の業績が大きく変わってきてしまいます。規制に守られているうちはいいのですが、一度規制が解除されるとほとんど会社を維持することも儘ならない状態になります。

ちなみに、日本におけるの小売業の法律・規制のこれまでの流れです。

【規制→規制緩和→経済衰退】
大店法 大規模小売店舗法 昭和48年制定
大型店舗の出店を規制しました。
この頃は、スーパーマーケットという大型店舗が日本でも出店を始めるようになり、日々の最寄品(食品や日用品など)を購入していた商店街が寂れ始めました。また、買回品と呼ばれる服や家電などの購入もGMSに分類されるイトーヨーカドー、ダイエーによって大規模に集客するにいたり、商店街はさらなる打撃を受けました。
大店法はこれらの大規模小売店を規制するために制定されたわけですが、規制の内容が厳しするぎるために、国外の企業から規制撤廃の要求が起こり1992年に期制が緩和されました。
この頃から地方の国道沿いにある所謂ロードサイド型店舗が増えてきたのを、みなさんも覚えていると思います。

【地域経済の変革→多様的な店舗】
大店立地法 大規模小売店舗立地法 平成12年制定
中心市街地活性化法、改正都市計画法との3点セットで制定されました。いわゆる「まちづくり三法」です。
この法律の目的は、上記の国外企業からの圧力があり大店法を撤廃した代わりに、「地方分権」や「地域環境」をテーマに地方自治体の創意により地域活性化を期待して制定されました。
実際はほとんど機能せず、さらにバブル崩壊による経済停滞もあり、商店街は壊滅的な影響を受けたのでした。
それに変わり現在に至るまでに、コンビニエンスストアや各種専門店など新しい業態が出てきており、小売業は大きく進化しています。

以上の歴史を踏まえると、規制による企業の利益および企業の発展の保護、また、競争による消費者保護のバランスは非常に難しい内容であることが分かります。
私は、経済思想においてはどちらかと言うと、ハイエク、フリードマンが好きで自由主義の方なのですが、過度な競争も企業側から見たらたまったものではないでしょうね。
と言うことで、小売業の会社はあまりおすすめしません。
なお、ハイエク等の経済思想家については下記に↓。
「経済古典は役に立つ」 再読 --歴史的経済思想家9人が織りなす資本主義の本質、投資は経験ではなく歴史から学ぼう!!

さて、話は戻りまして、上海百聯(シャンハイバイリエン)の業績ですが、売上は横ばい、利益は微減といったところです。
中国という国が伸びている現在では良いですが、マーケットが成熟して成長率が鈍化した入り、国自身が危ない状況の中国ではこれから先行きは暗いのではないでしょうか?
これから投資をするというのにはちょっと難しい銘柄だと思います。