街角経済14 東証でポートフォリオ理論の話を聞いてきた –浅野幸弘名誉教授のセミナーに参加しました
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前回に引き続き、東京証券取引所で開催された「ポートフォリオ理論応用 資産配分のプロセス」を受講してきました。
講師は、横浜国立大学名誉教授 浅野幸弘教授です。浅野先生は、東京大学経済学部、日本生命、住友信託銀行を経て現職にあります。
内容は、現代ポートフォリオ理論をそのまま実際の資産クラスに当てはめて計算をしてみるという内容でした。現代ポートフォリオ理論(Modern Portfolio Theory)は、ノーベル経済学賞のマーコビッツから始まり、シャープなどのCAPM(Capital Asset Pricing Model、資本資産評価モデル)などへと広がりをもたらしました。実際、今回のGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)の事例のように、銘柄選択・資産クラス選択の一つの道標になるものです。
現代ポートフォリオ理論では、資産クラスの価格変動(株価の変動など)は正規分布を仮定し、そのバラつき具合(標準偏差)をリスクと定義します。これにより、各々の資産クラスの組み合わせにより、リスクを減らしたうえで、最上のリターンを得る最適なポートフォリオを作成することができるという理論です。
今回は、この理論展開を元に、実際にいま取得出来うるデータをインターネットから拾ってきて、最適ポートフォリオを作るという非常に面白い、授業内容でした。
— 内容の解説文はこちら —-
本講座では「ポートフォリオ理論入門」で学んだ理論を資産配分に適用します。本格的にやろうとすると面倒な計算が必要ですが、資産を債券と国内株式、外国株式の3つに限定し、初心者でもフォローでできように簡略化して、資産配分のプロセスを、数値例を使いながら解説します。
— ここまで —-
実際、私もこのブログ「ポートフォリオリスク –リスクとリターンの関係を見える化して分かる3つのこと、教訓」で最適ポートフォリオ作成に取り組んでみましたが、いかんせん個別銘柄ではなかなかデータも限られるので断念したことがありました。今回は、いろいろなデータ入手先を教えていただけましたので、もう一度いろいろ考えてみようかなと思っています。
ところで、理論上、最強のポートフォリオを作ることができるのは目出度いことなのですが、幾つか仮定が入っているが要諦ですね。
今回のセミナーでも最後にきちんとお話されていました。
- 資産や指標に、価格のばらつきを正規分布を仮定していますが、必ずしもそのようにはならないと、教えています。実際、市場の動きは極端に動く、冪乗(べきじょう)分布しているという研究もありますし、近年の大きな価格変動(リーマン・ショック)などは、カオスの系が作り出すブラック・スワンだ、という考え方も定着しています。
- また、この現代ポートフォリオ理論が正しいなら、(インデックス・ファンドを買うように)世界中の市場を買えばいいのではないか、という問題提起も出されていましたが、実際は為替(通貨の変換)リスクが間に入っているので、そのリスクをヘッジする仕組がないと理論が成立しないことも、お話されていました。
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