初めての寄付2 --寄付金控除の仕組みを理解しよう。寄付金控除は使徒がわかりづらい税金をコントロールして、自分の寄付先に振り向ける行為

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前回の記事、「初めての寄付1 --児童養護施設への寄付を実行に移してみました。寄付に至るまでの道のりを纏めました。ヽ(^o^)丿」で、寄付を実行するまでの経緯と結果をご紹介しました。
今回は、寄付をした時の税金の控除とその本質的意味を解説します。

寄付金控除

寄付金控除の中では、昔からあった「①所得控除」と比較的有利な「②税額控除」があります。
まずはこの違いを説明します。

※この画像は、ファイナンシャル・プランナー試験の教科書、成美堂出版さんの画像をお借りしています。

まず、大きな税金の話です。画像にあるように、まずは所得の確定から入ります。
所得というのは企業で言う利益ですね。

会計用語で、
利益=収益-費用
となりますが、
税務の話の用語では、
所得=益金ー損金
となります。

つまり、あなたの所得は?と聞かれたときは、自分の費用(損金、普通は源泉徴収されています)を引いた残りの自分が使える利益だと考えてください。

その総額を確定した後、税金が引かれることになります。いわゆる所得税計算です。

寄付金控除を踏まえた「寄付」の意味

例えば、あなたが10万円を赤い羽根共同募金に寄付したとします。そのうえで、あなたの年収が500万円とします。500万円の年収の方は、いろいろ条件によって変わってきますが、給与所得控除等を受けると、所得が「195万円を超え 330万円以下」位になります(国税庁のページはこちら)。
ここの範囲ですと、所得税率は10%となります。

このような条件で、寄付金控除を計算してみます。

なお、寄付金控除には、a.所得控除とb.税額控除があり、今回の寄付金の控除を最初の所得の部分で行うのか、最後の税金額を決めるところで行うのかで全然変わってきます(上述の図を参照)。

今回の事例(年収500万円、寄付金10万円)で、控除額を見てみますと、
a.所得控除 9,800円
b.税額控除 39,200円

全然違いますね。ほとんどの場合において、税額控除を選択したほうが有利です。

これで控除額が決まりました。では次に、この寄付金控除の意味合いを考えてみましょう。

この控除額は確定申告をすることによりお金が戻ってくるのですが、お金が戻るならその分も寄付をすべきでは、なんか偽善なのではないか、という勘違いも出てきます。
例えば、下記のヤフー知恵袋のような質問。
寄付金控除を使うのやめませんか?東日本大震災

この質問は、寄付金控除を使うことによって、ただでさえ大赤字の日本国に対する税収が減ってしまうため、偽善なのでは、という質問です。

しかしながら、次のように考えることができます。

①本来(10万円の寄付をしていない時)は、

  • 自分 90,000円 本人の自由なお金
  • 国 10,000円 10%の所得税(国税、国のために何らか使われる)

②寄付をすると(寄付金控除前)↓

  • 寄付先 100,000円
  • 自分 -100,000円
  • 国 10,000円 所得税(国税、国のために何らか使われる)

③寄付をすると(寄付金控除申請後)↓

  • 寄付先 100,000円
  • 自分 -60,800円(39,200円が寄付金控除で返ってきます)
  • 国 -39,200円 所得税を戻す分。所得税が移動した。

以上を踏まえ①と③を比較すると、次のようなことが言えると思います。

寄付先は、私が寄付金控除を使おうが使うまいが、100,000円分を受け取ることができる。
そして、
a.60,800円分は、自腹を切って、本人が思うところに特定して寄付ができる
b.さらに、39,200円は、国が使おうとしたお金を、自分が考える寄付先にお金を特定し振り向けることができる。

つまり寄付をし、寄付金控除を受ける意味合いは、
a.のように、身銭を切る事と、
b.のように、使徒が分かりづらい税金を自分の思うところに振り向けること
にあります。

自分の所得税をコントロールできるということですね。もし、ヤフー知恵袋の質問のように、国税を毀損させることは好ましくないと考える人は、寄付金控除を利用しなければ良いと思います。
しかしながら、どちらにせよ寄付先は同額を受け取ることができ、寄付の価値は変わらないと考えることができると思います。

ワタクシゴトですが、2018年5月に本を出版しました。

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ビジネス社さんより出していただきました。

この記事のまとめ:

  • 寄付金控除には、所得控除と税額控除がある
  • 税額控除が控除額が概ね大きい
  • 寄付金控除の意味合いは、本来所得税で国に渡す税金をコントロールして、自分の寄付先に振り向けることができることである