「12大事件でよむ現代金融入門」 読了 –人間の欲望と歪みから生じる12の暴落事例、バブルが弾けるカラクリが学べます
当書籍は、ここのところの金融危機の事例を12個ピックアップし、それぞれの原因・理由を説明しています。非常に分かりやすい説明で、経済に疎い私でも理解可能でしたので、お時間がある方は是非読んでいただきたい書籍です。
章立ては、次の12章になります。
- ニクソン・ショックの衝撃 現代が“金離れ”したとき
- 中南米危機危機にみる累積債務問題の重石 原油が世界をかき回す
- プラザ合意の落し物 強いドルはアメリカの国益?
- ブラック・マンデーの悪夢 リスク・マネジメントの始まり
- 日本のバブル崩壊による痛手 邦銀の凋落が始まった
- ポンド危機で突かれた欧州通貨制度の綻び ヘッジファンドの台頭と通貨制度の脆弱さ
- P&Gなど事故多発・・・デリバティブズの挫折 金融工学の暴走とリーマン危機への伏線
- アジア通貨危機で再び 新興国の連鎖破綻 新興国リスクとドル依存体制の限界
- ITバブル崩壊の狂騒 「ニューエコノミー」という幻想と変貌する金融機関
- リーマン危機に連なる“ゲーム” アメリカ型金融モデルの崩壊
- ギリシャ財政不安でユーロ絶体絶命 ユーロ圏の南北問題と問われ続ける共同体理念
- 終わらないフラジャイル・ワールド 次なる震源地はどこだ?
これらの数件の事件を通じ、金融危機が生じるパターンを分類すると以下の要因が存在しているようです。ともに「歪みが生じる旧態の制度」、もしくは「仕組みの不理解から生じるギャップ」が存在しています。例えば、
- 為替によるギャップ → 昔は金(きん)に固定していたり、ドルに固定していたため歪みが生じています。ニクソン・ショックやアジア通貨危機、ユーロ危機など
- 新しい仕組みの不理解 → ITバブル時のニューエコノミー状態やリーマン・ショック時の複雑な金融商品など
- 商業銀行と投資銀行の関係
などが紹介されています。
この本を読むと、人間の欲望や制度の不備により歪みが生じているところには必ずバブルが生じ、暴落が起こることが分かります。
当ブログでも紹介した「勝ち抜け! サバイバル投資術」 読了 –ピンチを乗り切り資産10倍を目指す方法」の中でも、この著者は今後のバブルについて、
- 中国不動産バブル
- 資源バブル
- 円大暴落
- 米ドルショック
- 中国の市民革命
- 自然災害
などを予想して挙げられています。私も、今後の3大バブルとして、中国不動産、日本国債、ユーロ圏のギャップが候補であると思っており、いろいろな本を読んで探っています。
【中国不動産バブル】
当書籍の事例のように、中国では、通貨の元が完全変動ではないので、高めで設定されており、投資資金が流れ込みやすくなっておりその流動的資金が不動産に回っている状況です。まさしく、バブルの状況で、いつか不動産の利回りが止まるとき(高くなって買う人がいなくなった時)には日本のように弾けると踏んでいます。
【日本国債バブル】
また、日本国債は、財政のバランスシート維持の問題があり、日銀と財務省の金融政策でベースマネーを増やしても、不自然に金利が上がらない状況となっています。これは、ちょっと前の東洋経済でも特集がありましたが、買い手の大手銀行による談合的・官製的な価格決定となっており、こちらもいつか持ちこたえられない時に弾けると考えます。
【ユーロ圏内の歪み】
ユーロについては、ギリシャの歪んだ構造がそのまままだ維持されています。つまり、単一通貨のユーロが各国で固定的に設定されています。このため、不安定な国の国債は金利が高く設定されていますが、為替調整が効かないため資金が流れやすくなっている状況です。これだと、弱いPIIGSを中心にどこかがまた地雷的に爆発していくと思います。そのたびに今回のギリシャ危機のようにECBが量的緩和をして、ドイツが割りを食っていくのを毎回容認できるとは思いません。そのたびに世界経済は混乱するでしょう。
以上のような歪みやギャップはまだまだあると思いますので、今後10年、20年で多くの暴落が起こるでしょう。
まあ、投資をする私としては細かい原因はまあ良しとして、動揺せず絶好の投資機会と見て、冷静にいつでも資金投入できる状況を作っておくのが重要でしょう。
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