「生涯投資家」読了 --村上ファンドを率いた村上世彰さんのおそらく最後の著作。昔の事件から投資に対する思いまでが細かく記載されています!

当書籍は、日本のコーポレート・ガバナンスの改善を一貫して主張、実践してきた、村上世彰さんのこれまでの人生、取り組みを分かりやすく描き下ろした著作です。

先日の記事で、文藝春秋社での当書籍の出版記念セミナーに出向いてきたことを書きましたが、その場でご本人も述べているように本を書くのはこれで最後になるのでは、とのことでした。「街角経済 28 村上世彰さんの出版記念セミナーに参加してみた --「生涯投資家」について。」

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■章立て

まずは、章立てですが、
はじめに なぜ私は投資家になったか
第1章 なんのための上場か
第2章 投資家と経営者とコーポレート・ガバナンス

第3章 東京スタイルでプロキシーファイトに挑む
第4章 ニッポン放送とフジテレビ
第5章 阪神鉄道大再編計画
第6章 IT企業への投資 ーベンチャーの経営者たち
第7章 日本の問題点 ー投資家の視点から
第8章 日本への提言
第9章 失意からの十年
おわりに
となっています。■村上さんが一番伝えたかったこと

上述の私の記事「街角経済 28 村上世彰さんの出版記念セミナーに参加してみた --「生涯投資家」について。」にも書きましたが、村上さん自身は、第8,9章が書きたかった本筋であることを、出版記念セミナーの一番最初に述べています。

では、第8,9章は何が書いてあるのかというと、村上さんが考える投資の未来の事についてです。
その中でもとりわけ大事なのが、「コーポレート・ガバナンス」、そして「NPO」などの寄付行為について。

■コーポレート・ガバナンス

コーポレート・ガバナンスは、この本に一貫して流れている村上さんがこれまで大事にしてきた投資家として考えです。この本は、村上さんがコーポレート・ガバナンスが未発達な日本の市場に対して、如何に働きかけて改善を図ってきたか、そして一部は成功し、一部は失敗したかを記述した書籍であると位置づけることができると思います。

■寄付行為

また、NPOに関しては、今後村上さんが日本を変えるにあたっての、新しい視点でしょう。

私も昨年から、米国株や中国株から頂いた配当の一部を、寄付に回すようにしました。
「初めての寄付1 --児童養護施設への寄付を実行に移してみました。寄付に至るまでの道のりを纏めました。ヽ(^o^)丿」
初めての寄付2 --寄付金控除の仕組みを理解しよう。寄付金控除は使徒がわかりづらい税金をコントロールして、自分の寄付先に振り向ける行為

ある程度余裕ができた人が、NPOを通じて寄付を行い、世の中の市場や行政だけではうまく回らない部分に手を貸していくのは非常に有益な行動だと思います。

この書籍を通じて、再度、私も寄付を継続して行こうと強く思いました。

■村上さんの過去に対する思い(第3章~第7章)

第3章から第7章に関しては、村上さんの過去実践してきた事例を取り上げています。単純に読み物としては面白いです。村上さんの思いやその思いが投資先の経営者に全く伝わらない感じは、日本の投資文化そのものです。

是非読んでいただきたい章ですが、上述の通り、この章は過去のことであって、村上さん自身、あまり思い出したくないところでもあるようです。

逮捕されたインサイダー取引の前から、村上さんは一貫して日本のコーポレート・ガバナンスを変えるために活動してきました。

■最後に

村上さんの思いは、近年、モノ言う投資家の増加、スチュワードシップコードの設定など少しずつですが、実現されてきています。
これらの取り組みが形骸化しないように、村上さんの思いを頭の片隅入れながら投資をしていきたいですね。

この記事のまとめ:

  • 村上さんのおそらく最後の著作
  • 村上さん自身、第8,9章が書きたかった本筋であることを、出版記念セミナーで述べている
  • 「コーポレート・ガバナンス」、「NPO」などの寄付行為が投資の本質なのかも