「価格の心理学」 読了 –合理的価格は、ない??売上倍増に潜む人間購買心理

主に小売の商品について、合理的でない価格が付く過程を、架空の会社・物語を通じて示してくれます。
「価値」と「価格」の乖離はあらゆる状況で生じる現象ですが、心理面での価格に対するギャップを体系的に教えてくれます。

非常に興味深い事例が次々と示されますが、その中でも「アンカリング」は特に面白い現象です。

「アンカリング効果」とは、顧客の第一印象の効果を利用した価格戦略です。
しかも、「アンカリング」を有効に作用させるための3つの価格帯、その比率の事例は、実用にも足る非常に有効な現象です。

一例としては、3つの価格を用意して、その価格比率を、例えば、1:2:4のように設定します。特にボリュームとしては4は管理高価格帯として設定します。この状況で、4の高額サービスは、「フルサポートサービス」のようなネーミングを行い印象付けます。
すると、4の価格に引っ張られた顧客は心理的に、4が手が届かない場合は、2が安いと感じ抵抗なく購入する可能性が高い。また、4の高付加価値サービス、本物サービスを購入したい顧客も一定量いるはずですので、全体的には利幅の高い商品・サービスに誘導できる、という仕掛けです。

もう一つ、「おとり戦略」という話も面白かったです。
売りたい高付加価値商品層に対して、自社でわざと性能が劣る商品を横に並べ、高付加価値商品を際だたせるという戦略です。こうすることによって、競合製品の存在自体を霞むように仕組む手法です。

価格の心理学 なぜ、カフェのコーヒーは「高い」と思わないのか? [単行本(ソフトカバー)] リー・コールドウェル (著), 武田 玲子 (翻訳)

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もりかずお
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