「アメリカの高校生が学ぶ経済学 原理から実践へ」読了 --経済学の基礎が網羅されている教科書。米国の高校生、恐るべし

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当書籍は、米国の「高校生」が経済学の教科書で使っているものの日本語翻訳版です。2005年の11月頃に、日経CNBCで紹介されていたのを見て手にとったのがきっかけです。もう10年近く前ですね。兎にも角にも超おすすめできる本なので、ぜひ手にとって見てください。

ちなみに、この本、舐めてかかると痛い目を見ます。大学の教科書と言っても違和感ないくらい、ハイレベルで網羅的です。

章立てを見てみましょう。

  1. 経済学とは何か
  2. 経済システムと意思決定
  3. 需要
  4. 供給
  5. 価格と意思決定
  6. 競争、市場構造、政府の役割
  7. 政府歳入
  8. 政府歳出
  9. 貨幣
  10. 連邦準備制度と金融政策
  11. 投資、市場、株式
  12. 国内総生産
  13. 人口、経済成長、景気循環
  14. 失業、インフレーション、貧困
  15. 経済的安定の達成
  16. 国際貿易
  17. 発展途上国
  18. 世界経済の課題
大きく分類すると、ミクロ経済学で限界効用等、基礎的な内容をフォローし、その後にケインズ的なマクロ経済学へと続きます。そして、最後には国際経済学と王道なテーマが続きます。ほとんどの経済学の話題がフォローされていて、これくらいの内容を学んでおけば普通のビジネスのための知識としては十分だと思われます。強いて言うと行動経済学の分野がないくらいでしょうか。これを高校生のレベルで学んでいるのがすごいですね。米国恐るべしです。

ちなみに、私が先日書いた記事の、「TPPとその価値、反対派の感情を考える --開国をするとメリットが享受できるのだが、なぜ人はそれを拒否するのか?」についての、ミクロ経済学の受給の関係やマクロ経済学のIS-LM位は当然に出てきますし、国際経済学の基礎であるリカードの絶対優位、比較優位なんかも網羅されています(まぁ、時代的に古い古典理論ですが)。

また、各章には、REVIEWがあってそこに示されている問題が非常にハイレベルです。一つ例を挙げてみますと、
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6-2 市場の失敗
(用語とポイント)
1.以下の用語を定義しなさい。
市場の失敗、外部生、負の外部性、正の外部性、公共財
2.市場には十分な競争と情報が必要な理由を説明しなさい。
3.資源が、必ずしも移動しなかったり、したがらない理由を説明しなさい。
4.2種類の外部性を説明しなさい。
5.公共財の必要性が市場の失敗に分類される理由を述べなさい。
(クリティカル・シンキング)
6.軍事基地の閉鎖から起こり得る正の外部性と負の外部性を1つずつ挙げなさい。
(経済概念の応用)
7.資源が市場間や産業間を移動しないような身近な例を挙げなさい。

どう?難しいでしょ!

また、コラムも数多く用意されていてホットな話題提供もあります。

経済に少し興味があるが、何を読んでよいかわからない方はこの本から入るのがよいでしょう。
また、本格的に投資をしたい方(ギャンブルのような投資ではないという意味での投資をしたい方)は、これくらいの経済学は理解できるようにしておいたほうが良いかもしれません。日本人は経済に疎いと言われますので、克服したい方は是非この本をご一読ください。超おすすめ本です。

ワタクシゴトですが、2018年5月に本を出版しました。
株は「ゲリラ豪雨」で買い、「平均気温」で儲ける!
amzn.to/2G1VtGw 
ビジネス社さんより出していただきました。

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もりかずお
もりかずお代表