「ずる 嘘とごまかしの行動経済学」読了 –人間がズルをするパターンを詳細の実験によって検証しています
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当書籍は、行動経済学社のダン・アリエリーが多くの人間に対する実証実験を行い、不正に対する結果をまとめたものです。各章で実験の紹介という形式ですが、各々とても楽しい実験で、また人間の本質がかいま見えるものも多いですので、読み応えがあります。
章立ては以下のとおりです。
序章 なぜ不正はこんなにおもしろいのか
第一章 シンプルな合理的犯罪モデル(SMORC)を検証する
第二章 つじつま合わせ仮設
第二B章 ゴルフ
第三章 自分の動機で目が曇る
第四章 なぜ疲れているとしくじるのか
第五章 なぜにせものを身につけるとごまかしたくなるのか
第六章 自分自身を欺く
第七章 創造性と不正 -わたしたちはみな物語を語る
第八章 感染症としての不正行為 -不正菌に感染する仕組み
第九章 協働して行う不正行為 -なぜ一人よりみんなのほうがずるをしやすいのか
第十章 半・楽観的なエンディング -人はそれほどごまかしをしない!この本の面白いところは、人が不正をするメカニズム、環境等々を明らかにして、さらに、どんな人でも不正は起こるものだと結論づけていることです。
つまり、不正行為は大胆な犯行ではなくて、普通の人々のちょっとした悪事、しかも本人は心のなかでは正当化してしまうもので成り立っていることを説明しています。
つまり、不正行為は大胆な犯行ではなくて、普通の人々のちょっとした悪事、しかも本人は心のなかでは正当化してしまうもので成り立っていることを説明しています。
そういう意味では、日常の中でこれくらいは誤魔化してもいいだろう、誰も見ていないしというシーンは多々あると思いますが、それの積み重ねが大きな事象になっているということのようですね。
この本で示される各種実験では、例えば試験の成果としてお金を渡すときに、ズルのしやすい環境を作ったり、衆人の目に触れるシーンを作ったりして、ずるをしやすい要因を突き止めていっています。
この本のいいところは、各種実験で精密にずるの本質を突き止めているところにあるのですが、ちょっと事件の事例提示が多すぎる点もあり、最後まで読むと冗長な感じです。ちょっと結論がぼやけています。
社会科学や行動経済学に興味がある方は一読するのも良いかと思います。
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