「「投資バカ」につける薬 」再読 --投資勧誘の常識を真っ向から一刀両断にする本。自立した投資を目指す方は必読の書です。(*^_^*)

当書籍は、経済評論家として活躍している山崎元さんが、甘い言葉で投資を勧誘する人々をバッサリ切り捨てる指南本です。
投資の初心者の方々は、投資に関していろいろなアドバイスが必要だとは思いますが、「売り手の得は買い手の損」という現実のもとに、金融関係・証券会社のアドバイスはまったくもって的外れであることを事例を持って示します。

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■二つの問題提起
本書は最初に、個人の資産運用に関して2つの問題提起をしています。

一つ目は、正確な情報・知識が行き渡ってないこと
二つ目は、資産運用のサービス価格が高すぎること
です。

これらの問題の原因は、主に売り手側の不誠実な態度によるものなのですが、もちろん買い手側・投資家側の不勉強も原因です。

この書籍は、投資家側の無知を正す、もしくは目を覚まさせるために非常に効果的な役割を演じていると思います。世の中の投資の情報は、ほとんどが売り手側の都合で提供され売り手側が有利になるように歪まされているので、買い手・投資家はその歪んだ矛盾点を、この書籍を通して学ぶと良いでしょう。ヽ(^o^)丿

■章立ては?
章立ては、
第1部 「常識への問いかけ」編 その常識、ホントは間違いだらけ!
第2部 「情報への問いかけ」編 情報に踊る人は儲からない
第3部 「流行への問いかけ」編 流行に乗ろうとすると火傷する
となっています。

内容の展開は、質問形式とそれに対する「正しい問いかけ」という問答形式で、真実を明らかにしていきます。この問いかけが、合わせて18問あって、全てが真っ向から本質をつく質疑・回答となっています。

具体的な問いかけの例をご紹介します。
一番最初の質問  「いま投資すれば、確実に儲けることができます」と言われたら・・・
正しい問いかけ  「だったら、なぜ自分で投資しないのですか?」

どう素敵でしょう!!

■ついでに、私のブログの考え方も
私も、当ブログ記事、
「経営者と経営コンサルタント、投資家と投資コンサルタント --似て非なる、全く非なる人種について」
で同様の内容を書かせていただいたことがあります。
私も同じような考えですので、手前味噌ながら自分の記事を引用させて頂きます。

---- ここから ------
この人達も、儲かるなら自分で投資をすれば良いわけで、いちいち株などを紹介する必要が無いわけです。つまり、投資するノウハウも経験もないため、しょうがなく顧客に投資先を勧めて、手数料を得る稼業をしているわけです
ですので、証券会社が紹介する案件、投資先はなんの意味もありません。一番儲かる投資先があるなら人には言いませんよね。
強いて言うと、一番手数料が稼ぎやすい銘柄でしょうか(笑)。全くあなたのためにはなっていませんね。
この辺の世の中のカラクリをきちんと理解したうえで、投資の方法を決めていってください。
---- ここまで ------

話を戻します。
こんなテンションで、当書籍は18個の問いかけが用意されていて、投資の正しい知識が認識できるようになっています。具体的事例で展開されていますので、非常に読みやすいと思います。

■ドルコスト平均法
私自身、勉強になったのは、分散投資・ドルコスト平均法の是非について。問いかけ13にありますが、世の中では分散投資、ドルコスト平均法は必定の手段だと思われています。しかしながら、ずっと上げていく相場であれば、当初の一回で買ったほうがコストが安く仕入れることができるはずです。
つまり、この手段も時と場合によるということなのですね。おおむね株式市場などは、基本的に企業の利益水準に対して価格が決まっていくので上下することが多いです。この前提が成り立つならドルコスト平均法は(コストの範囲で)、有効になります。全てにおいて、このような前提、そしてコスト等々各種要因が効いてきますので、その多寡を知った上で投資をする必要があります。
18個の問いかけの中で、4つほどがコストに関するものです。

私の投資、Fair Value Investmentでは、

  • 価格(株価)は、中長期的には、価値(企業価値)に収斂していく
  • 中長期とは、株式のリスク(ばらつき具合)が、債券投資のリスクを下回る約15年超を指す。つまり15年以上は保有する
という前提で投資をしています。
これ以外は、基本的に未来のことは分からないという前提で、最悪のことが起きても耐えられる投資法を採っています。皆さんも投資をする場合には、投資の前提を踏まえて、目的に沿った方法を採用しましょう。
■投資と確率
さらに、当書から勉強になったのはもう一つ。確率の話。
18個の問いかけの中で、5個が主に確率に関する話です。
投資に関しては、確率の勉強が必須です。そもそもリスクの定義が確率で表されるので、知らない訳にはいきません。
私は、気象情報を扱う業界にいますが、気象情報も大きな母集団からサンプル抽出されたデータを扱うので、確率的な考え方が必要になります。未来の量を扱う場合は、金融にせよ気象にせよ、ばらつき具合を基本として確率をしっかりと勉強しましょう。

■投資勧誘は全て疑おう!
最後に、普通の投資本は、著者がスポンサー紐付きの提灯記事だったり、その人が偶然儲かっただけの確率無視の内容だったります。ですので、素人投資家はそこを見抜いて学ぶことが必要です。
基本的には、他人、特に証券会社や投資雑誌の言っている内容は、はなから疑ってかかるようにしましょう。

最後の最後に、上記の結論から帰結する結果ですが、当ブログも当書籍も疑って読みましょう!(笑)

この記事のまとめ:
  • 当書籍は、投資勧誘の常識を懐疑的に捉えることができる、目からウロコの良書
  • 投資をすすめる業者に対して、18個の正しい問いかけを用意
  • 投資にはいくつかの前提があることを理解しよう
  • すべて疑って応対しよう(笑)