名古屋グランパスを経営して看る10 –名古屋グランパスで増収増益を図るには。マーケティングのフレームワークで分析してみました

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前々回、前回と名古屋グランパスの財務状況を他のJリーグチームと比べてきました。
「名古屋グランパスを経営して看る8 –2014年度の各チームの財務状況。グランパスはあまり良くないです・・・・、連続赤字と債務超過すれすれ」
「名古屋グランパスを経営して看る9 –Jリーグクラブの経費の質を見ていきましょう。人件費はグランパスが1位。ちょっと選手年俸高過ぎのような・・・・」

今回は、その課題を踏まえて、今後どうしていけば名古屋グランパスが増収増益できるか、ひいては強い人気チームになれるかを考えていきたいと思います。
少し話題が重すぎるか(笑)。

今回は、収入内訳は、「広告収入」、「入場料収入」、「Jリーグ交付金」、「アカデミー関連収入」、「その他収入」がありましたが、今回は相対的にちょっと少ない、つまりグランパスが弱いところの「入場料収入」の増やし方を考えていきましょう。

方針を考えるにあたって、いろいろな観点からアプローチすることができますが、今回は、マーケティングの観点から掘り下げてみましょう。
マーケティングのフレームワークもいろいろありますが、今回は、小売のマーケティング手法を参考にします。
ISM(In Store Merchandising)、インストア・マーチャンダイジングの手法になります。

なお、図は、経済産業省の配下にある、独立行政法人中小企業基盤整備機構(略称:中小機構)が運営するホームページ、J-NET21から採ります。当ホームページは日本の95%を占めるという中小企業を支援するためのサイトです。その中の、「HOME > 経営をよくする > 小売・流通業の新常識」の図をお借りしています。

上記のように、売上は、
売上=客数×客単価
と分解でき、さらに、
売上=(来店客数×来店頻度)×(商品単価×買い上げ点数)
と分解されます。
これは小売の用語ですので、名古屋グランパスの「入場料収入」の用語にできるだけ直してみましょう。

売上=(①現地観戦をする潜在的なサポータ数
×②一人当たりの1シーズンのスタジアム観戦数)
×(③一人当たりのチケット代とグッズ購入代金とグルメ購入代などなど
×④買い上げ点数)

では、一つ一つ改善可能か見てみましょう。

①現地観戦をする潜在的なサポータ数

ここは大きな改善項目ですねー。
人口約200万人の名古屋市、そして東海3県をホームとしていますので、潜在的な人の数は多いはずです。
少し前の記事、「名古屋グランパスを経営して看る3 –都市人口から見るサッカークラブのあり方と地元への訴求具合について」で、単位人口あたりの入場者数を見ましたが、まだまだサポーターになる余地のある人は潜在的に多いので、ぜひぜひ増やしていって欲しいと思います。

このような潜在的な人口のマスにアプローチできていないという課題は、次のような公式になります。広告効果の公式ですが、グランパスを知らない人にグランパスの話題がどれだけ届いたかどうかになります。

効果=リーチ×フリクエンシー

リーチは、どれくらいの人に届いたか。フリクエンシーは、一人当たり何回くらい届いたかになります。幅広く人に、何回くらい届いたかで2次元的な効果が分かります。

グランパスの場合は、リーチとしてはまだまだ知名度が少なくもっともっと知らない人へたくさん到達できると思いますので、頑張って欲しいと思います。私も、Facebookのグループで名古屋グランパスのグループを立ち上げていますが、目的の一つは、この名古屋グランパスが名古屋グランパスを知らない人へのリーチを上げて、知名度アップ、そして情報の伝達を広げたいからです。

次に、フリクエンシーですが、直接的なマスメディア広告を除いて、名古屋グランパスを知らない人へ何度も接触できるようにするには、やはりクチコミが大事なのではないでしょうか。
企業の5大コミュニケーションは、広告、広報、人的販売、SP(セールスプロモーション、販売促進)、クチコミとありますが、地域に根づいたクラブを目指すためには長く愛されるチームとなるべきで、そのためにはクチコミのような、一方的ではなく双方向の伝達手段が有効だと思います。
東海3県、そして名古屋は歴史的にも面白い地域なので、文化的、歴史的、つまり長い時間軸を織り交ぜて末永く愛されるチームとなっていって欲しいと思います。

潜在的なサポータ数について纏めますと、地域的な特徴を出すこと等によりクチコミ等を使い、名古屋グランパスを知らない層にリーチを上げていく、合わせて接触回数を上げる事により認知を向上させる、のが今後の施策となるのではないでしょうか。

目標は、地域チームとしての先輩格の中日ドラゴンズくらいの認知まで上げられればいいですね。ヽ(^o^)丿

②一人当たりの1シーズンのスタジアム観戦数

次の一人当たりのスタジアム観戦数ですが、違う言葉で言うと「リピート数」ですね。多くのリピーターを作ることが重要です。
この最終到達点としては、サポータに年間シートを買ってもらう、ファンクラブに入って年間チケットを買ってもらうことになります。まずは、一度足を運んで頂いたお客様にもう一回来てみたいな、と思われる環境を作らなければなりません。
こちらの施策の主は環境づくりですので、対応策はいろいろあります。
良いサッカーを魅せる、スタジアムの劇場的なスペクタクル感・非日常感づくり、スタジアムグルメ、マッチデープログラムなどなど上げればきりがありませんね。
予算の制約があるところですので、こちらも長い目で進めていってほしいところです。

③一人当たりのチケット代とグッズ購入代金とグルメ購入代などなど

この項目のうち、一人当たりのチケット単価を上げる方ですが、これはなかなか難しいですね。値上げはどの業界でもセンシティブな項目です。
ですので、施策としては、初めは安いサポーター席、ゴール裏に来てもらった人を長い目で見て、将来は家族連れの指定席に誘導していく、そして最終的にはメインスタンドの年間シートに移っていってもらうという感じでしょうか。

④買い上げ点数

この項目は小売の方程式から取ったものなので、名古屋グランパスの増収増益にはあまり関係ないですね。無理やりこじつけると、何度も来るコアサポーターに友達を連れて来てもらうことがこの項目に入るような気もしますが、①の現地観戦をする潜在的なサポータ数を増やす施策とも被ります。

以上を踏まえて、纏めますと、

中期的には、認知の向上
具体的には、クチコミ等による幅広いリーチを取っていく、そして、途切れず何度も地元民に地元チームの良さをアピールしてフリクエンシーを増やすこと。

長期的には、スタジアム環境の整備・サッカーの質の向上によるリピート率の改善。具体的には、スタジアム新設、コンセプトのあるサッカー戦略・戦術の構築。

超長期的には、単価の向上。具体的には、観戦歴が長いサポータには、サッカー観戦のスタイルを落ち着いたものに誘導し、チケット単価を向上させること。

こんな感じで如何でしょうか。駄文すいません。m(_ _)m

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もりかずお
もりかずお代表