街角経済32 IFRSの委員の方からお話を聞いてきた–不確実な未来の量を計算書類、財務諸表に反映する難しさ
少し前まで、朝活の会に参加していました。ある回のゲストの方がIFRSの委員をやっている方で、お話を聞いてきました。今回はその中でも特に印象に残ったことを書きたいと思います。
会社の状況を表す計算書類はより正確に表すため、ブレがないように会計基準が厳格に決められています。しかしながら、一方ではなかなか数字にしにくいものもあり、グレーな内容もあります。
その中の一つが、未来の量をいかに財務諸表に反映させるか。
例えば、減価償却費というものは、買った資産により収益が生み出されるのが将来に渡るという考え方から、費用を当期で処理することなく、耐用年数で少しずつ処理させていきます。
会計基準にはこんなバーチャルな指標がわんさか乗っているのですが、現在、国際会計基準では、「未来の量をできる限り、現在のBSに反映させたい」という思いもあるようで、そのためにいくつかの検討課題があるようです。
その中でも一番驚いたのが、貸し倒れ引当金の扱い(話の中ではたくさんありましたが)。貸し倒れ引当金は、会社で売り上げた債権が、相手の会社が倒産することにより回収できなくなるものを予想し、先に引き当てるものです。
そのために、その計算は過去の貸し倒れの実績から割合を求め引き当てて、費用として積んでおきます。BSでは資産側にいますが、マイナスの資産として乗せます。
まあ、このような現在の処理はまあ妥当かなと思うわけですが、今回のお話では、将来の貸し倒れリスクも何かしら定量化して、それを現在価値に割り戻して更に載せようという考えもあるようです。
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でも書いているのですが、経済や株価は非常に複雑なカオス構造ですので、未来のことはわからないと考えたほうが、投資は成功します。
そんな中、貸し倒れリスクの将来分を予想するというのが妥当かどうか、疑問ですね。
私も、「不確実なものを予想して、計算書類に反映するのはいかがなものでしょうか?」と質問しましたが、やはり基準を決める人々も議論がいろいろあるようです。
当ブログのタイトル、FAIR VALUE、公正価値は、できるだけ価値を意識して投資をしよう、という意図からネーミングしましたが、当用語を使う会計基準の世界では「価値」の扱いというのは難しいようです。
ワタクシゴトですが、2018年5月に本を出版しました。
この記事のまとめ:
- 少し前に、IFRSの委員の方のお話を、朝活の会で聞いてきた
- 貸し倒れリスクの将来分を予想するというのが、とても印象に残った
- FAIR VALUE、公正価値を正確に表現するのは難しく、不確実なものを会計基準に乗せる矛盾が疑問として残った
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